受益者負担の原則を崩すなら、ユーザーをどう納得させるのか?
そして最後はいけぐち議員の真骨頂、自動車関係諸税についての質問。「道路特定財源の一般財源化について、政府と与党の合意が成立しましたが、最大の問題点は自動車ユーザーの声がまったく無視されたということです。自動車ユーザーは、本来の徴税目的である道路整備以外に使うのであれば、暫定税率を廃止すべきだと1000万人を超えるユーザーが署名しました。行革推進法では、一般財源化を図ることを前提としながら、納税者の理解を得つつとなっています。ユーザーの理解を得られない一般財源化を進めるつもりですか。自動車ユーザーは長年に渡り過大な税負担を甘受してきた、最も善良な納税者と言えます。負担を甘受してきた一番の理由は、道路を整備するためという受益者負担の原則です。今回受益者負担の原則を崩すのであれば、明確な理由を説明してください」と強い口調で問ういけぐち議員に対して、安倍総理は、「道路特定財源に関する具体策は、厳しい財政事情の下、現行の税率水準を維持しつつ、一般財源化を前提とした見直しを行うこととしています。真に必要な道路整備は計画的に進めることとし、自動車関係諸税を負担しているユーザーの理解を得ていきたいと考えています。」
またしても、受益者負担の原則を崩す理由には何も触れない的外れな答弁。これでは理解を得られるはずもない。
自動車関係諸税を抜本的に改革すべき
いけぐち議員は、「自動車関係諸税について様々な問題が指摘されています。生活必需品である自動車に対し、所得、保有、走行の各段階で合計9種類にも及ぶ税金が課せられている、自動車取得という同一物、同一行動対して2種類の課税をするという不合理が放置されている、燃料税に消費税をかける二重課税の問題、暫定税率といいながら30年以上も続いている等です。自動車関係諸税を抜本的に改革し、簡素でユーザーが理解できる税制とする考えはありませんか」と投げかけたところ、安倍総理は「自動車の取得、保有、燃料の消費に着目して各種の税を課すこととしていますが、各税にはそれぞれ創設の経緯、課税根拠があり、国、地方の貴重な財源になっております。このような現状や自動車の環境に与える影響、厳しい財政事情等を踏まえる必要があると考えております」と相変わらずの一点張り。二重課税や長期間の暫定税率も、安倍総理にとっては問題ないという認識だ。景気回復という政府判断も、このときばかりは厳しい財政事情へと様変わりする。
高速道路の引き下げは、地域活性化の力水
そして、いけぐち議員は「かつて小泉総理は、無駄な道路を造ることになるとの理由で高速道路事業への税金投入をやめました。今回再度税金投入を検討するわけですが、それがきちんと高速道路料金値下げに直結するものであれば、納税者の理解も得られると考えております。以前の道路公団への丸投げ公的資金投入ではなく、債務の返済と高速道路料金の引き下げを厳密な計算の基づいた上での税金投入を行ってください。」と約束を求め、さらに、「高速道路料金の引き下げは、利用者の利便性だけでなく、輸送コストの削減化を有効活用すれば地域活性化の力水となるなど多重の意義があります。民主党は以前から高速道路の無料化を主張していますが、そのステップとして料金を半額にするぐらいの制度設計をすべきと思いますが、高速道路料金引下げに対する総理の考えを聞きます」と、答弁を求めた。
それに対し安倍総理は、「昨年12月の道路特定財源の見直しに関する具体策において、平成20年度の通常国会において所要の法案を提出することとしており、どのような方法で行うのかを含め、検討を進めることとしています」と、官僚答弁に終始し、最後まで煮え切らない答弁だった。
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